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墨について

 以下に、基本的な墨の種類について紹介いたします。

墨の分類

  • 漢字用・仮名用・水墨画用
  • 産地(和墨・唐墨)
  • 煤の種類(松煙墨・油煙墨・改良煤煙墨)
  • 墨の濃度(淡墨・濃墨)
  • 墨の色(青・茶・赤・紫紺・彩色系)
  • 墨の大きさ
  • 固形墨・墨汁

墨の原料

(すす)

油煙

 植物油を燃やして作ったもの。煤の粒子が細かく均一なため、油煙墨で書かれた線には艶やかな光沢深みがあります。墨色は黒から茶系。菜種油、胡麻油、椿油、桐油など。伸びの良い墨が求められる細字仮名用には粒子の細かい植物性油煙墨が使われます。


松煙

 松の木とその樹脂を燃やして作ったもの。煤の粒子が大きく均一ではない。墨色は黒から青系。改良煤煙墨 鉱物油・カーボンブラックなどを原料とした煤で、粒子が均一なので一定に黒色で、墨色の変化はない。


<色の違い>
 赤系、茶系の粒子は一般的には細かい粒子の集まり、紫紺系は細かい粒子と粗い粒子の混合体、青系は粗い粒子の集まりとされています。

 動物の骨、皮、腸、腱などを煮出し、コラーゲンという繊維質の高タンパク排出液を濃縮・冷却し凝固させたもの。膠は煤を水に分散させるとともに、紙に煤を定着させる役割があります。

香料

 膠の臭みを和らげるために、梅花香や龍脳や麝香(じゃこう)などの香料が入れられます。墨の香りが落ち着くというのは、この香料の効果です。

墨の産地

和墨

奈良墨(ならすみ) ― 奈良県奈良市
  古梅園、喜寿園、墨運堂、呉竹、錦光園など
鈴鹿墨(すずかずみ) ― 三重県鈴鹿市
  進誠堂

唐墨

中国安徽省黄山市(歙県)
  上海墨厂 曹素功「紫玉光」「鉄斎翁書畫寶墨」
  歙県徽墨厂 胡開文
清代四大製墨名家 ― 曹素功、汪近聖、汪節庵、胡開文

墨の大きさ

和墨

唐墨

墨の取り扱い

磨り方

 硯の陸の部分に水を数滴(3~5 ml 程度)入れ、墨を斜めに軽く持ち緩やかな円を描くように磨ります。力を入れて急いで磨ると、煤の粒子が粗くなり美しい墨色は出ません。淡墨で使用する場合も、トロトロになるまで濃く磨って、粒子より細かく分散するようにしてから薄めて使います。

保管

 水分が付いたまま放置すると、ひび割れの原因となりますので、墨を磨った後はすみやかに水分をふき取り、しばらく乾燥かせてから、直射日光の当たらない湿気の少ない場所に保管します。購入時の木箱があれば、その中に入れておくことが望ましいです。

割れた場合

 小さくなった墨は墨挟みを使って磨りますが、もっと小さくなった場合には、磨って表面を平にしてから濃く磨った墨で新しい墨とつなげる方法があります。唐墨は和墨に比べて割れやすく丁寧に扱わないと割れてしまいます。もし折れてしまった場合には、濃く磨った墨や墨用の接着剤を使って補修します。